必ず訪れる明日を

偶然の幸せを手にしてる いつだって少し疲れてる 40代の戸惑い

『ヒメアノール』と『戸惑いの惑星』

映画『ヒメアノール』が公開されて1年と9ヶ月

レンタルビデオ店でDVDを手に持ってみるものの、心拍数が上がり気持ちがざわついて棚に戻す、という状態でした
ホラーや怖いと分かっている物とか、絶対見たくない
だけれど『ヒメアノール』はやっぱり見たい

トニセン舞台のDVDが清涼剤のような内容だったので、『ヒメアノール』にメンタルをやられたら『戸惑いの惑星』を見よう!ということで、意を決して視聴しました

森田さん=森田剛さん
森田くん=森田正一役
以下、ネタバレを含みます

準備としてヒメアノールを検索し、感想、ネタバレを読みまくり、残虐シーンを予習することで展開がわからないという不安をなくす
天気のよい日に、太陽光の明るい昼間に、音は小さく、字幕をつけて、集中しないようにする

いざ、視聴

、、、始まる前に他の怖そうなやつの告知いれるのやめて欲しい→早送り⏩


結論から言うと、わたしは大丈夫でした

二度目は、音量を上げて集中してみました
暗い映画館の大画面で予習なしで見ていたらまた違った感想になっていたと思いますが、怖い描写もあるのだけれど、それよりも悲しい物語でした

嫌な気持ちになる描写も多くあります
被害者に感情移入して一番怖いと感じたのは、家に帰ったら知らない男が食卓でカレーを食べているのを発見した旦那さんでした
学生時代が遠い昔で、通り魔的暴漢の標的になりそうな年代を過ぎているからかもしれません
若い女性はもっと怖く感じるかも

映画本編は99分と短いのですが、音楽がない部分が多いので長く感じました
殺害シーンも含め、音はほとんど会話と周囲の雑音のみ
音楽の効果で感情を揺さぶられたのは、タイトルが出た場面と、森田くんが拳銃を捨てる場面だけでした


もし和草くんが自首していたら、久美子さんが森田くんを殺そうと言い出さなかったら、連続殺人は起きなかった
婚約者から過去に殺人に関与していた事実を打ち明けられたり、友人や婚約者から一緒に人を殺そうと提案されたら、心情的には実際の殺害シーンよりも怖いです
和草くんは森田くんと久美子さんと二回殺人を持ちかけられて、二回とも承諾しているのですね

映画化にあたって、殺人衝動の性癖を持った人物から、凄惨ないじめが引き金となって心が壊れた人物、と変更されたようですが、地獄のような日常を過ごしていてもほとんどの人は殺人者にはならないわけです
「お母さん麦茶持ってきて」と言えるのだから家庭が崩壊していた訳でもない
幸せな時には抑えられていた殺人衝動が、環境によって開放されたと感じました

好きな人がいて、相手にされなくて、その人が自分と同等と思っていた友人(?)と恋仲になるという状況に絶望した時
普通の人がとる行動が安藤さん
悲しんで妄想して自棄になって、時間をかけて受け入れる

ユカちゃんが一目惚れして無条件に好きになったのが岡田くんじゃなくて森田くんだったなら、森田くんは幸せになれたのかもしれない

現実の事件の報道を見ていても、殺人衝動を持って生まれた人は一定数いるのだと感じます
衝動を抑えるのにどれ程の努力が必要なのかはわかりませんが、彼らが偶然の幸せを手にいれて結果として一生、罪を犯すことなく生きていけたらいいなと思いました


あとは、どうでもいい事だけれど気になったところが2つ
久美子さんが殴られながらも逃げないし崩れないで四つん這いで居続ける場面には、ユカちゃんと対比させる演出なのはわかるけど、違和感がありました
もう1つは安藤さん、最初と最後でかなり体型違わないですか?役作りなのかな?



清涼剤『戸惑いの惑星』初見の感想です

まず、よくできた舞台だな、と思いました
導入部はトニセンのファンに向けて始まるのに、トニセンをよく知らなくてもちゃんと楽しめるように出来ている

井ノ原さん=ハセッチは、通常が半分作り話の井ノ原さんなので、いい意味でそのままのイノッチ
教授役は=イノッチを感じさせなかったのもよかったです

長野さん=由利は、演技をしてる長野さん
マダム役が似合ってました
ちょっとコントぽくなるのは狙って演じてるのでしょうか

坂本さん=三池は、惚れます
わたしは坂本さんが好きだったんだっけ?という気になりました

一言で言うとトニセンいい!



『ヒメアノール』と『戸惑いの惑星』
どちらも視聴後は、登場人物の変えようのない過去を想って泣ける良作でした